寒くなってきたが、紅葉にはまだ早い京都のこの時期。

海外から多くの観光客で賑わう観光寺院の2016年の紅葉も多くの参拝者・国内外の観光客でごった返すことが予想される。人の波が押し寄せてくる光景は、時には恐ろしさを感じる。

夜のライトアップも綺麗で大きな魅力を感じるところもある。数年前に聞いた話だが、このライトアップは樹木に良い影響を与えないどころか年々傷んできつつあるとの事。観光客に喜んで頂きたいのだが、由々しき事態である。

京都の有名寺院の紅葉は、あまりにも人が多い爲、穴場を求めて郊外へ出ようとする傾向にある人達がいる事も事実である。インターネット等の情報を調べて、こんなところにも居るのかと思う程、辺鄙なところへも行っているようだ。

今回オススメする紅葉の穴場は、京都市内ではあるが中心部から離れた西京区である。近年段々と増えてきつつあるが、まだ有名寺院に比べると少ないほうである。そのお寺は、葉室山浄住寺である。

歴史は、810年に開創された嵯峨天皇の勅願時である。

釈尊が御入滅の際、捷疾鬼という神鬼が釈尊の歯を1本奪ったとされ、これが韋駄天に渡り、さらに律宗の祖である中国の道宣律師に渡ったといわれている。その後、我が国に伝えられ、嵯峨天皇により淨住寺に安置されたと太平記に記されている。当時は「常住時」と称し、開山は慈覚大師円仁である。この時は天台宗であった。

本堂・鐘楼・舎利殿など多くの堂宇が立ち並んでいた様子が正慶2年(1323年)絵図に描かれている。
鎌倉時代末期の元弘3年(1333年)4月、六波羅探題軍と千種忠顕率いる後醍醐天皇軍が交戦した際に、全焼し、その後も、応仁の乱以降に度々兵火に遭って荒廃し、永禄10年(1567年)に全焼した。1687年(貞享4年)葉室頼孝の開基、黄檗宗の僧鉄牛道機を中興開山として再興され、黄檗宗の寺院になり、今に至る。境内全域は京都市の文化財環境保全地域に指定されている。

この寺の紅葉は11月下旬から12月初旬にかけて見所となる。

山門付近から本堂前にかけての紅葉のトンネルは実に見事である。本当に自然豊かなお寺で、癒やし効果抜群の環境であると個人的には思う。

イベントも時々、行われていて、色々な文化を楽しむことが出来る。

拝観料は無料。但し、伊達家ゆかりの方丈など、内部公開の時は、有料となる。

交通アクセス・・阪急電車「上桂」駅、徒歩約15分。市バス「苔寺」、徒歩約5分のところに位置する。

所在地は西行区山田開キ町9である。